音盤紹介:アンセルメによるチャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」
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音楽のこと
今年の正月元旦、
ネット通販で買った
エルネスト・アンセルメの3つのボックスが届きました。
フランス音楽集
ロシア音楽集
ドイツなどその他の国の音楽集です。
バルトークはどのボックスにも含まれていないので、
4番目のボックスが作られるのかどうか悩ましいところですが、
遅まきながら少しずつ聞き始めました。
アンセルメは、
店長が中学と高校の端境期に、
講談社からLP2枚が入ったクラシック大全集を発売され、
その中にアンセルメの優秀録音がかなり入っていましたので、
お馴染みの指揮者でした。
フランス音楽などは全然問題なく聞けたのですが、
ただ、ベートーヴェン/交響曲第9番がそのアンセルメ盤で、
なかなか盛り上がらない演奏に、
友人の持っていたトスカニーニ盤を羨ましく思ったものでした。
今、アンセルメの第9を聞くと大変面白く聞けるのですが、
子供の頃はもっと盛り上がる熱血演奏に憧れますので、
アンセルメ盤は少々荷が重かったです。
その講談社版クラシック第全集に入っていた
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」は、
若かりし頃のローリン・マゼール指揮ウィーン・フィル盤でした。
今回購入したアンセルメのロシア音楽ボックスに、
アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の「悲愴」が入っています。
「たぶん...」と思った予想が当たり、
第1楽章から、
異端ともいえる、
まるで盛り上がらない演奏、
すこしヘロヘロ気味のオーケストラ、
今まで聞いたことのないオーケストラバランス(特に金管楽器)ですが、
かなりの透明感のある演奏で、
バレエ音楽の延長線上にある「悲愴」ということで、
こういう演奏もありだな…
と、「悲愴」を第3楽章までをなんとなく楽しむことができました。
ところが第4楽章、
これもある程度予想していたことではあるのですが、
想像以上に透明感のある演奏で、
聞き惚れてしまいました。
阿鼻叫喚の悲しさではなく、
悲しさに共感して、
そっと寄り添っているような演奏は、
今まであまり聞いたことがありません。
共感して寄り添っている分、
最後の絶望の深さは凄いです。
しばらく何も聞きたくなくなるような、
深く暗い音となって最後は余韻をもって終わります。
今までいろいろな「悲愴」を聞いてきましたが、
これだけ透明感があって優しいのに、
むしろ絶望感の深い「悲愴」の最後は、
なかなか聞くことができませんでした。
もちろん、
アンセルメ盤が1番という気はさらさらありません。
ムラヴィンスキー盤やカラヤン盤など、
全体に良い演奏録音は他にもたくさんあります。
お勧めはたぶん他の演奏録音です。
最近でも、
フルトヴェングラーの第2次大戦中の録音を聞いて、
感動したばかりですし。
でも、アンセルメの表面上飄々としていて、
その実、「あれ?」と思う懐の深さに、
これから、
アンセルメボックスをあれこれ聞く楽しみが増したのでした。
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