音盤紹介:フルトヴェングラーによるシューマン/交響曲第4番
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音楽のこと
今日、11月30日は、
ドイツの大指揮者ウィルヘルム・フルトヴェングラーの命日です。
68歳で亡くなったのですね。
今でいえば、まだまだ若くして亡くなったということでしょうか。
第2次大戦中や戦後の苦労が、
フルトヴェングラーの生命をを一気に縮めたような感があります。
店長は白状すると、
フルトヴェングラーの作り出す音楽が少し苦手だったりします。
我がハンス・クナッパーツブッシュ・ファンに比べて、
フルトヴェングラー・ファンの方が圧倒的に多いので、
なかなか言い出すのが怖いというところはありますが、
「なんで、ここでアチェレラントがかかるのだろう?」
とか、
スコアを見ながら聞いていると、
音楽の表情付の記号がほぼすっ飛ばされ、
フルトヴェングラー流の表情付に変わってゆきますので、
「え?」ということが多々あります。
フルトヴェングラーは作曲家でもありましたので、
自分の感じる様式に、
スコアを読み直してゆくところが大いにあるのではないか、
と思ったりします。
さらに、聞いていて、
呼吸感がなかなか自分と合わない、
というもどかしさを感じることもあります。
「これだけ名演の録音だと言われているのなぜだろう?」と、
悩んだこともありました。
それはまあ、仕方のないところではあるのですが。
でも、
「これはどの指揮者も敵わない」と
思う演奏録音がいくつもあるのは確かで、
店長が「フルトヴェングラー」という名前から真っ先に頭に浮かぶのが、
ワーグナー/「トリスタンとイゾルデ」全曲、
ブラームス/交響曲第3番、
そして、シューマン/交響曲第4番です。
特に、
初めてフルトヴェングラーのシューマン/交響曲第4番を聞いた時には驚愕しました。
音楽が巨大な蛇のように、
生きてうごめいているようなのです。
クナッパーツブッシュのように、
律儀にスコアの書き込みを再現した演奏録音ではありませんが
(クナッパーツブッシュは意外にスコアの書き込みに忠実です)、
有無を言わせぬ説得力を持った凄みのある演奏に、
ただただ驚き、聞き惚れました。
シューマン/交響曲第4番は、
冒頭からハイテンションで繰り返しや回帰が多く、
店長は他の指揮者で同曲を聞いた最初の頃、
やかましく感じてしまって、
なかなか入り込めない音楽でした。
店長がシューマン/交響曲第4番の素晴らしさに目覚めることができたのは、
フルトヴェングラーの演奏録音のお陰だと言ってもいいくらいです。
音楽の持つ生命感をこれほど見事に演奏してしまった例は稀有だと思います。
その後も、数多くの同曲の演奏録音に接してきましたが、
いまだにこの演奏録音が第一ではないか、
と思っています。
ドイツ・グラモフォンの1953年同曲の演奏録音はセッション録音ですが、
フルトヴェングラーは編集による細切れ録音を嫌い、
一発録りであったそうです。
そのため、オーケストラにミスはあるものの、
4楽章がアタッカで演奏されますので、
音楽の勢いがそのまま最後まで持続します。
シューマン/交響曲第4番は、
本来2番目に作曲された交響曲です。
でもシューマンが望む評価が得られず、
長い間お蔵状態でしたが、
シューマンがその短い晩年に改訂して、
スコアは第4番として出版されました。
シューマンの激情がそのまま音楽になっているようで、
フルトヴェングラーの演奏録音で聞くと、
非常に聴き応えがあります。
面白いのは、
最近の全集ばやりが反映して、
どの指揮者も4曲の交響曲全部を録音したりしていますが、
古いドイツの指揮者は
シューマンの交響曲全曲をレパートリーにすることは少なかったらしく、
たいてい第4番は誰でも演奏するのに、
第1番から第3番は残っている演奏録音を見ても、
指揮者によってかなりばらつきがあるということでしょうか。
現在、人気の高い第3番「ライン」が案外少ないのが面白いですね。
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