音盤紹介:カラヤンによるオペラ間奏曲集
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音楽のこと
カラヤンは1989年7月16日、81歳で亡くなりました。
亡くなってから今年でもう、27年になるのですね。
20代や30代のクラシックファンの方には、
現在も高音質で聞ける録音が多々あるとはいえ、
物故指揮者の遠い存在になってしまったのかも知れません。
「カラヤンなんて知らないよ」という若い方がいても普通でしょうね。
でも、「巨匠」と呼ばれる指揮者では、
最後の人かも知れません。
店長がクラシックを聴き始めたころ、
カラヤンはまだ現役バリバリで、
来日するたび、
新しい録音が出るたびに、
何かと話題になる大きな存在でした。
店長がカラヤンの演奏録音を初めて聞いたのは、
中学1年の頃、
ドイツ・グラモフォンへの
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」でした。
近所のお姉さんにレコードを借りて聞きましたっけ。
ただ、子供心にカラヤンの「新世界より」はあまりに洗練されすぎていると感じ、
演奏としてはあまり好きではありませんでした。
生意気なガキでした。
次に聞いたのは、
DECCAのR.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」でした。
新譜ではありませんでしたが、
スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年:宇宙の旅」が公開され、
「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭部分が極めて印象的に使われていたため、
「全体はどんな音楽なんだろう?」と聞きたくなり、
購入したのでした。
当時、「ツァラトゥストラはかく語りき」は、
カール・ベーム盤がサウンドトラックという触れ込みでしたので、
ベーム盤が欲しかったのですが、
少し入手しずらく、カラヤン盤を買ったのでした。
実は、映画に使われた「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭は、
本当はカラヤン盤であったということを知ったのは、
ウォルター・レッグと細君エリーザベト・シュヴァルツコップの、
「レコードうらおもて」という回想録を読んだ後でした...
と記憶していたけど、ジョン・カルショー「レコードはまっすぐに」だったかもしれません。
レコードのサウンドトラックをリリースする会社との、
利権問題が絡んでいたのですね。
カラヤンのおかげで、
複雑、大規模なR.シュトラウスの管弦楽に慣れ、
マーラーの大げさな交響曲を聞いても違和感が少なかったです。
そこがマーラーへの入り口かな?
でも、
当時、日本の音楽評論家にはカラヤンの評判はいまいちで、
一部の方以外、称賛を音楽雑誌で読むことは少なかったです。
アンチ・カラヤンなどと言われたのは、
その影響力の大きさ、
つかんだ数々の地位への反発からでしょうか。
それでも、カラヤンの数あるレコードはどれもベストセラーでしたが。
一般リスナーには、安心してそのレコードが聞ける、
筆頭のような存在でした。
店長もアンチ・カラヤンの気分が伝染し、
しばらくカラヤンからは遠ざかっていましたが、
転機は3回ありました。
まず、ドイツ・グラモフォンへのブラームス/交響曲第3番、
そして、交響曲第5番が最初の一連のマーラーの交響曲録音、
そして、EMIへのドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」でした。
この3種には素直に感動しました。
巷間、カラヤンのオペラ(特にイタリア・オペラ)は優れていると言われていて、
アンチ・カラヤンの人々にも、
「カラヤンのオペラは別格に良い」と言われていましたが、
店長の若いころは経済的な事情や、
「言葉が分からない」ということもあって、
オペラは敬遠気味でした。
そんな時に出会ったのが、
カラヤンの「オペラ間奏曲集」というレコードでした。
故・黒田恭一氏のレコード紹介文章に出会い、
「聞いてみよう」と思って買ったレコードが、
一生の宝物になるとは、
短い楽曲の寄せ集めですので、
想像ができませんでした。
そして、イタリアのヴェリズモ・オペラの旋律の美しさ、
フランツ・シュミット「ノートルダム」など、
このレコードをきっかけにして、
あれこれ他の指揮者による演奏録音を漁盤する羽目に陥りました。
以来、どういうわけか、
「カラヤン」というと、
プッチーニ/「ボエーム」や、
このオペラ間奏曲集、
そして、
あまり評判の良くなかったベートーヴェン/「ウェリントンの勝利」などが、
店長の脳裏に浮かんでくるのでした。
店長はすでにアンチ・カラヤンではなく、
「カラヤンでも何でも聞く」ファンになってしまいましたが、
ウィルヘルム・フルトヴェングラーやハンス・クナッパーツブッシュなどとは
折り合いが悪くても、
その同時代や次代の指揮者として、
やはり、ものすごく大きな存在だったな...、
と思うのでした。
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