音盤紹介:ワルターによるマーラー/交響曲第9番
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音楽のこと
マーラー・ネタが続きます。
これもまた古い録音ですが、
交響曲第9番、
ブルーノ・ワルター指揮コロンビア管弦楽団のCBS盤です。
マーラーに目覚めてしまった高校時代...
というよりクラシックを系統立てて聞き始めた作曲家が、
マーラーでした。
まずはバーンスタインの交響曲第1番CBS盤のジャケットがかっこよくて買った、
というところから始まり、
交響曲第2番「復活」にものすごく影響され、
何番目か忘れましたが、
第9番を初めて聞いた時は大感激しました。
「マーラーは青春時代に聞くとよく理解できる」
と書かれた音楽評論家の方もおられますが、
たぶん、その通りだと思います。
特に第9番は「死」を扱ったか、
「死」を大きく意識して作曲されたからか、
青春時代の揺れ動くセンチメンタルな感情に、
まさにぴったりかもしれません。
むろん、年齢を重ねてから、
第9番の独特の世界が理解できるようになった...
というのも、大いに「あり」だと思います。
初めて買った第9番のレコードは、
ブルーノ・ワルター指揮のCBSステレオ盤でした。
輸入盤でオートチェンジャー仕様、
A面第1楽章の裏が第4面第4楽章、
2枚目のA面第2楽章、B面第3楽章でした。
ワルター盤を買ったのは、
ワルターがマーラーの影響を大きく受けた、
いわば弟子であったということを既に知っていましたし、
国内盤のクレンペラー盤やショルティ盤(旧盤)よりも値段が安かった、
という単純な理由によります。
2枚組LPは高価ですので、
安い方がありがたかったです。
それに、マーラー/交響曲第9番なんて、
まだ廉価盤では出ていなかった頃ですし。
第1楽章の、
川面をゆったりと小舟が漂うような音楽から青春時代の店長はショックを受け、
第3楽章の激越な音楽(第2楽章は最初はあまりよく分かりませんでした)、
そして第4楽章の少しセンチメンタルで永訣の詩のような音楽に、
それこそ、浸りこむようにして何度も聞いた記憶があります。
1970年大阪万国博の時、
レナード・バーンスタインがニューヨーク・フィルと来日、
当時の大阪フェスティバルホールでマーラー/交響曲第9番を演奏しました。
ワルター盤によって予習がたっぷりできていた店長は、
初めて生で聞くマーラー/交響曲第9番に、
とてつもなく感動したことを覚えています。
長じて、
様々な指揮者、
オーケストラによるマーラー/交響曲第9番を聞いてきましたが、
戻るのはやはりワルター盤です。
ワルターが同曲の初演者だったという理由だけではなく、
ケレン味がなく、
自然にスコアを音にしていった...という印象があります。
それに、あまりよく分からなかった第2楽章に、
マーラーは「田舎の楽隊風に」と但し書きを付け、
トリルをいっぱいくっつけたユーモラスでノスタルジックな音楽ですが、
大体において洗練された演奏が多い中で、
「田舎の楽隊」を思わせる演奏録音はワルターが随一でした。
ひとによってさまざまだと思いますが、
店長にとって第2番「復活」と並び、
マーラー/交響曲第9番はそれこそ青春の詩でした。
恥ずかしながら、
だいたい、第9番では、
どのコンサートや演奏録音を聞いても今でも感動してしまいます。
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