音盤紹介:カラヤンによるR.シュトラウス「アルプス交響曲」
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音楽のこと
夏といえば、
「登山」という人も多いのではないでしょうか?
遭難事故がないのを祈るばかりですが、
「夏山登山で遭難」という記事を目にすると、
「山をなめちゃいけないよ」といつも思います。
店長は高校生の頃まで、
よく山に登っていました。
冬は父がスキーに連れて行ってくれ、
夏は兄が登山好きだったため、あちこちつき合わされました。
父も兄も山のことには詳しいので、
たとえ低い山に登るときでも、けっこう重装備で出かけました。
近所の登山というと六甲山で、
何回登ったのか忘れてしまいました。
運動靴(スニーカー)では絶対に登らなかったです。
いつもちゃんと登山靴を履いていました。
それと厚手の生地の服や雨具は必需品でした。
おかげで、山頂の低気温にも大丈夫で、
急な天候の変化にも慌てなくて済みました。
下界が暑いからと、軽装で登山をするとえらい目に遭います。
大学の受験準備をするようになって、
登山とも疎遠になり、今でも疎遠なままです。
登山を描いた音楽というと、
真っ先に思い浮かぶのが、
リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」です。
アルプスへの登山開始から、山頂にたどり着き、
嵐にあって窮地に陥り、
嵐が去って下山をするまでを、
約50分の音楽にまとめてあります。
もっとも、最後は少し意味深長で、
無事平穏に下山したという結末と、
登山者は嵐で遭難してしまい、
魂だけが下山して鎮魂の音楽が支配する、
てな結末の、両方が可能なようです。
指揮者によってさまざまです。
どっちの結末だろう?
と最後を楽しみにして聞くのも楽しみの一つです。
作曲者リヒャルト・シュトラウス自身の指揮による演奏録音も残されていますが、
リヒャルト・シュトラウスの演奏は、
登山者は嵐を無事脱し、下山して平穏に終わります。
今回取り上げるのは、
カラヤンの1980年、
ドイツ・グラモフォンのデジタル録音最初期の演奏録音です。
ドイツ・グラモフォンのアナログ録音後期の音は非常に優秀で、
すばらしい音がしたものですが、
デジタル録音最初期は少し音が薄っぺらだった印象があります。
それでも、カール・ベーム盤「アルプス交響曲」はモノラルでしたが、
カラヤン盤はステレオだったことから、
LP時代の愛聴盤で、それこそレコードがすりきれるほど聞きました。
店長には、カラヤン盤の結末は登山者が遭難してしまった方に聞こえます。
ひとそれぞれですが。
演奏はリヒャルト・シュトラウスが得意であったカラヤンの面目躍如、
ベルリン・フィルの能力の高さとともに、
非常に聞き応えがあり、
最初から最後まで退屈しているヒマはありません。
素晴らしい演奏録音だと思います。
でも「アルプス交響曲」で、
今まで一番驚いた演奏録音は、
エフゲニ・ムラヴィンスキーのライヴ盤でした。
恐ろしく充実した演奏録音で、氷河にたどり着くあたりからは、
神々しいばかりの凄い音楽が聞けます。
ただ、古いライヴ録音のためモノラルで、現在は入手できないようです。
もう一種、ジュゼッペ・シノーポリ指揮
シュターツカペレ・ドレスデンの演奏録音もかなり凄いです。
「アルプス交響曲」を演奏するなら、
ここまで徹底すべきだろう...という凄さ満載の演奏録音です。
シノーポリ盤を取り上げるべきだったような...。
でも、カラヤン盤もいいですよ。
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