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音盤紹介:ブーレーズによるストラヴィンスキー/「火の鳥」(1910編曲版)

公開日: : 最終更新日:2015/08/07 音楽のこと

boulez-firebird

暑い!と書いても、
暑さは去りませんので、
今回はさらに暑そうなジャケットの演奏録音。

ピエール・ブーレーズ指揮BBC交響楽団の、
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」1910年組曲編曲版です。
ブーレーズはこの後、全曲版(完全版)で2回、
正規のセッション録音を行っていますので、
これは「火の鳥」では、
ブーレーズ最初の特殊な組曲版でしょうか。
LPの初出当時、
バルトーク/「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」
とカップリングされていました。
1967年の録音で、
尖がっていた頃のブーレーズの演奏から、
怜悧ながらも、その底に熱さも感じる録音です。
日本での国内盤は1968年か1969年に頃発売されたと記憶しています。
店長が高校2年生の頃の購入で(マセガキですね)、
ブーレーズは翌1970年、
万博クラシックの時にジョージ・セル、クリーヴランド管弦楽団と来日、
いっぺんにブーレーズ・ファンになっていた店長は、
そのブーレーズの公演を2回とも大阪フェスティバルホールで聞きました。
ジョージ・セルの凄さをまだ知らない頃で、
セルの指揮を聞けなかったことは、今での痛恨の思い出です。
まあ、ブーレーズを聞けただけでも儲けものでしたが。

ブーレーズは同じストラヴィンスキーの「春の祭典」を
クリーヴランド管弦楽団とCBSに録音する前、
コンサートホール(レコードのレーベルです)にフランス国立放送管弦楽団と録音、
すでに大きな話題になっていました。
バーバリズムの見本のような音楽から、
知的で、スコアをレントゲン写真で見たような演奏…
ということで、驚きをもって迎えられました。
「春の祭典」自体、当時のオーケストラにとってはかなりの難曲で、
コンサートの演目に載ること自体が話題でした。

「火の鳥」は「春の祭典」ほど難曲である...
という話は聞きませんが、
ブーレーズの1910年組曲版を最初にして、
ようやく現代音楽からクラシックの仲間入りをしたという印象があります。
レコードは、当時完全版よりも、
編曲盤の方がレコードでは多かったのではないでしょうか。
でも、クラシックの一般的な楽曲とは言えませんでした。
「火の鳥」完全版はこの後、
エルネスト・アンセルメ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の、
アンセルメ生涯最後の録音が出て、
秘境的色物の楽曲イメージから抜け出たようなところがあります。
その後は、
コリン・デイヴィスやクラウディオ・アバドの演奏録音が出て、
当たり前のクラシック名曲になってしまいました。

むろん、「火の鳥」は今や完全版が数多く出ているわけですから、
1910年編曲版は影が薄いです。
でも、1910年編曲版を最初に聞いた耳には、
完全版での録音は聞き所や名曲ともいえる楽曲が多いにもかかわらず、
どこか贅肉がいっぱいついている...
という、変な感想を持ってしまったのでした。
その分では、ブーレーズは罪作りですね。

1967年当時のブーレーズの演奏録音が、
なぜ、革新的で驚きをもって迎えられたのか、
今では分かりにくくなってしまいました。
でも、店長には青春そのものとも言える演奏録音ですので、
今でもたまに引っ張り出して聞きます。
その演奏録音に込められた暗闇、
ギラギラというより、渋くキラキラした色彩感、
冷たいようでいて不思議な暖かみをも感じる情感などなど。
ああ、帰りこぬ青春よ...。

なお、店長の持っているCDのジャケットは、
画像とはまるで違うものになっています。
発売当時の雰囲気というか、
ジャケット自体が刺激的だったLPのジャケットが懐かしくて、
あれこれ検索をかけてようやく初出LPのジャケット画像を見つけました。
一時期、このジャケットでCDも発売された記憶があるのですが、
いまはもう、見つけるのも大変です。

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