音盤紹介:ヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団によるフォーレ/弦楽四重奏曲
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音楽のこと
室内楽は地味ですが、
長くクラシックを聞いていると、
その魅力から逃れられなくなります。
店長も、
聞き始めは交響曲や管弦楽曲が中心で、
やがて独奏曲や室内楽を中心に聞くようになりました。
オペラを聞き始めたのは、
もう少し後になってからです。
ひとによって、聞き始める順番はそれぞれだと思います。
室内楽の聴き始めはモーツァルトで、
やがてベートーヴェンやシューベルト、ブラームスに広がり、
今では、
シューマンの室内楽が最も好きなのかもしれません。
ドイツ・オーストリア以外では、
やはりフランス近代音楽が大好きです。
ドビュッシー、ラヴェルはもちろん、
サン=サーンスやフランク、ケクランやダンディにいたるまで、
どれもこれも非常に好きです。
そのフランスの室内楽の中で、
一番誰の音楽が好きか?
と聞かれたら困ってしまいますが、
やはり、フォーレの室内楽が最も好きで、
よく聞いているのかもしれません。
シューマンとフォーレの室内楽があれば、
自分なりに非常にゆったりとした時間を過ごせてしまいます。
フォーレにはピアノ四重奏曲やピアノ五重奏曲が2曲ずつ、
ピアノ三重奏曲が1曲、
ヴァイオリンソナタとチェロソナタがそれぞれ2曲ずつありますが、
室内楽の王道ともいえる弦楽四重奏曲は、
最晩年に1曲を作曲しただけでした。
ピアノ三重奏曲も1曲だけですが、
弦楽四重奏曲はそのピアノ三重奏曲の後に書かれ、
フォーレの亡くなった後に初演されました。
フォーレはベートーヴェンの弦楽四重奏曲を非常に高く評価しており、
ベートーヴェンの優れた業績を考えると、
なかなか弦楽四重奏曲の作曲に足を踏み入れにくかったようです。
それでも、最晩年の78歳になって、
ようやく弦楽四重奏曲作曲のペンを取りました。
今でこそ、
さまざまな弦楽四重奏団による弦楽四重奏曲を聞けるようになりましたが、
以前はパレナン弦楽四重奏団と、
今回取り上げるヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団の演奏録音くらいしか、
レコード屋の店頭で見つけることは出来ませんでした。
パレナン弦楽四重奏団もヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団も、
どちらも優れた演奏録音ですが、
店長はヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団の演奏録音で長い間同曲を聞き、
いわば血肉と化してしまったところがあります。
店長は第1楽章冒頭からメロメロになってしまうほど同曲が好きで、
静かな音楽なのに、初めて聞いたときのショックは忘れられません。
店長は作曲家にしろ演奏家にしろ、
晩年の「最後の到達点」的な言い方はあまり好きではないのですが、
フォーレ/弦楽四重奏曲は「最後の到達点」といっても違和感が少なく、
かなり相応しい言い方ではないかと思ってしまうのでした。
フォーレの弦楽四重奏曲はヴァイオリンソナタなどと比べると、
おもいっきり地味で渋い楽曲ですので、
あまり多くの方にはお薦めしません。
それに、店長の宝物的な楽曲ですので、
あまり多くの人に「いい」といわれてもなぁ…
というへそ曲がりなところもあります。
でも、室内楽に関心を持っている方には、
ぜひ一度聞いてみて欲しいという、
アンビヴァレンツな感情を抱いてしまうのでした。
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