音盤紹介:クリュイタンスによるラヴェル/「ラ・ヴァルス」
公開日:
:
最終更新日:2014/07/22
音楽のこと
「ボレロ」は
チェリビダッケのかなり特殊な演奏録音を取り上げてしまいましたが、
本来であれば、
クリュイタンスの録音を取り上げるべきだったのかもしれません。
クリュイタンスはベルギー出身の指揮者で、
ドイツ音楽もレパートリーにして、
ベルリン・フィル初の
ステレオでのベートーヴェン交響曲全集を録音したり、
バイロイト祝祭音楽祭にも何回か登場しています。
ただ、ベルギーはドイツの度重なる侵攻に、
よりフランス文化に近づいていたようです。
クリュイタンスは、
「フランスの指揮者よりもフランス音楽を粋に指揮をする」というイメージがあり、
ラヴェルとビゼー、ベルリオーズなど
「なるほど粋で質が高い」と思わせる録音がいろいろと残っています。
ただ、クリュイタンスの録音では、
ラヴェルはひじょうに質の高い極めつけの録音が聞けますが、
ドビュッシーで残された録音はそれほど多くなく、
フランス音楽でも得手不得手があったのかな?と考えてしまいます。
クリュイタンスはLPやCD数枚に渡るラヴェルの管弦楽曲集を録音しました。
「ボレロ」をはじめ、
どれも素晴らしい録音ばかりですが、
店長が他のどの指揮者やオーケストラの演奏よりも最も好きで、
いつも聞きほれてしまうのが「ラ・ヴァルス」です。
「ラ・ヴァルス」は冒頭こそ不気味な曖昧模糊とした音楽で始まりますが、
あとは美しく、楽しく、輝かしいウィンナ・ワルツのオマージュです。
ラヴェルは第1次大戦中、兵士として従軍、
輸送部隊の運転手をしていましたが、
傷を負い、健康を害してしまいました。
戦争の後遺症、母親の死など、
ラヴェルはしばらく作曲できない環境にありましたが、
「ラ・ヴァルス」という輝かしい楽曲で復活します。
ただ、聞き手によってはラヴェルの屈折した心情が楽曲に現れている、
という説もあり、
単に、楽しく、美しく、輝かしいだけの楽曲とは言い切れないようです。
それでも、
クリュイタンスの「ラ・ヴァルス」は素晴らしいです。
店長はラヴェルの楽曲では、
「ラ・ヴァルス」と「マ・メール・ロワ」がことのほか好きで、
さまざまな演奏録音を漁りました。
その中で、クリュイタンスの演奏録音がずば抜けて好きです。
「ラ・ヴァルス」はピアノでの演奏もあり、
小山実稚恵さんの演奏録音を聞いたことがありますが、
まるでジェットコースターに乗っているような
変化に富んだスリリングな演奏でした。
オーケストラ版とピアノ版、
それぞれに聞き所の多い音楽です。
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