オペラを作曲活動の中心にしていた作曲家の代表作は、
当たり前の如く、やっぱりオペラです。
その創作活動はオペラを中心に回っていた、
といってもいいと思います。
モーツァルトも、
その作曲活動の中心はオペラでした。
その短い生涯に完成したオペラは17作あるそうです。
その最後の作品となった「魔笛」は、
純粋なオペラというより、
歌入り音楽劇(ジンクシュピール)と位置づけられる作品です。
物語は荒唐無稽、
フリーメーソンの秘儀との関連も濃厚な作品で、
聞く前から「難解なんではないか?」と尻込みする人も多いようです。
でも「魔笛」は大変楽しく、
フリーメーソン云々を気にしなくても、
お伽噺として聞く、あるいは見ていてもひじょうに面白く、
また、音楽も素晴らしいことには間違いありません。
「魔笛」の録音はひじょうにたくさんあり、
優れた演奏録音が多く、
また、グランドスタイルから古楽器によるものまでさまざまです。
ただ、舞台で見る、映像で見ることを除くと、
録音として「魔笛」を聞くには、
台詞の部分に音楽が阻害されることが少なくありません。
音楽の流れが止まってしまうのです。
そこで、台詞をカットした全曲盤の登場となります。
オットー・クレンペラーのセッション録音は、
台詞をカットし、音楽の部分のみを録音した全曲盤です。
台詞のある全曲盤には、
カール・ベーム盤、オトゥマール・スウィトナー盤など、
ひじょうに優れた録音があり、
古楽器による演奏も盛んです。
でも、「魔笛の音楽を聞く」ということでは、
クレンペラー盤は堂々としたスケールを誇り、
また、歌手陣も立派なことから、1セット持っていても損はないと思います。