LPの再生に力を入れてから、
さまざまな驚きと発見があります。
その一つに、
CBSソニーからリリースされた、
ブルーノ・ワルターのリミックス盤があります。
CBSのレコードは、
昔は日本では日本コロンビアがリリース、
1968年からはソニーが販売権を獲得、
EPICを含めて、
CBS/SONYとしてレコードがリリースされ、
現在に至っています。
CBS/SONYとしてレコードが発売された当初、
他のレーベルと異なり、
ジャケットがシュリンクで密封してあり、
試聴可能なレコード屋さんでも、
「これは試聴できませんねぇ」と言われてしまい、
全く聞かずにレコードを購入しなければなりませんでしたっけ。
のんびりした時代でしたので、
レコード屋さんによっては、
店員さんに頼めば、
レコードの試聴ができた時代です。
1970年代の終わり頃、
CDの発売をにらんで、
CBS/SONYはワルターの録音のデジタルリミックスを始めました。
ワルター存命時のレコーディングプロデューサー、
ジョン・マックルーアが立ち会い、
4チャンネルマルチテープから、
新たにリミックスしなおし、
リマスターされました。
CDの発売前、
LPでその最新技術によるリミックス盤が発売されました。
日本コロンビア、初期CBS/SONYのレコードで、
その音に親しんでいた店長は驚きました。
ものすごく新鮮な音でワルターの名演群が蘇ったのです。
LPからCDに移行し、
ワルターの名演群はめでたくCDでも発売されました。
初期リミックス盤は、
マックルーア・リミックスとして今だに人気があり、
中古市場でも、
ものによっては高価で取引されています。
その後、CDにLPの音を懐かしむ声が強くなり、
LPの音を意識した音にCDは変わってゆきます。
マックルーア・リミックスも初期盤とは異なる、
別の音になりました。
ただ、CBS/SONYの戦略か、
新たな別のリマスターと称して嫌になるほど再発が続き
(輸入盤でも^^;)、
辟易とした店長などは、
「もういいや」とあれこれ処分してしまったのでした。
でも、
ワルターのマックルーア・リミックスで、
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」のLPが手元に残っていました。
なぜ、CDでも買い直したのに、
このLPが手元に残っていたのかは謎ですが、
最近のLP再聞き直しを進めている店長は、
このLPも聞き直すことにしました。
カーブ切り替え付きフォノイコライザーもあることだし(^^;。
「これはRIAAだろうな、やっぱり」と思った店長は、
RIAAカーブでゆったりとした気分で聞くことができました。
爽やかともいえる音です。
日本コロンビア盤や初期CBS/SONYよりも繊細で、
しかも、黴が取れたような音です。
何だかほっとしながらこの名演を聞くことができました。
でも、
ものは試しと、
Columbiaカーブで聞き始めたら...、
驚きました。
音の鮮度はリミックス盤そのままに、
さらにスケールが大きく、
スピーカーの外にまで音が定位しているようで、
ゆったりとした気分というより、
ドキドキワクワクしながら、
この聞き慣れた演奏録音をもう一度全部聞いてしまいました。
2回続けて、
同じレコードを聞いてしまったわけですね(^^;。
イコライザーカーブを切り替えるだけで、
これだけ聴感上の差が出るのか...と、
改めて驚かされました。
何故なのか?は、
浅学の店長には分かりませんが、
これは非常にいい経験になりました。
CBS/SONYの国内盤では、
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の、
廉価盤LPでも同じような経験をしていますので、
CBS/SONYのLPでは、
その音に少なからず不満のあった店長は、
少しの機器を導入するだけで、
お宝に化ける...ということが分かってしまい、
ますますLP探求の食指が伸びてしまうのでした。
ああ、昔多く持っていたLPを処分しなければよかったのに...
という、後悔の念とともに。
遅いですが(-_-;。