ガリ・ベルティーニは2005年に77才で亡くなりましたので、
2017年の今、もう12年も経つのですね。
2005年に生まれた子供がもう12歳で、
小学校を卒業して中学校に上がろうかという年齢です。
いやになりますね(^^;。
ガリ・ベルティーニのマーラーを初めて聞いたのは、
1984年シュトゥットガルト放送交響団との交響曲第9番ライヴの、
NHK-FMでの放送でした。
いつ放送されたのか忘れてしまいましたが、
たまたまカセットテープにエアチェック、
いまだにそのカセットテープは手元にあります。
第4楽章が異様に遅い演奏でした。
その第9番が放送された後、
主席指揮者となったケルン放送交響楽団と来日、
1988年の来日公演でも大阪で第9番を演奏たはずです。
店長は諸事情があり聞きに行けませんでしたが...。
録音では、
LPでDHMから交響曲第3番と第6番がリリースされました。
後に旧EMIに販売を移し、
交響曲全集に発展する録音ですが、
当時はまだ全集に発展する予定はなかったと記憶しています。
その第3番と第6番は、
地味なレーベルからのリリースながら、
大変優秀で、
LP時代からCD時代に移っても、
メディアを変えて繰り返し何回も聞いてきました。
日本での演奏録音を含め、
ベルティーニのケルン放送交響楽団とのマーラー/交響曲全集は完結するわけですが、
今では非常に増えたマーラー/交響曲全集の中でも、
屈指の全集といっても過言ではないと思います。
店長は出るたびにバラで購入、
全部を揃えました。
ところが悲しいかな、
他の指揮者によるマーラーを聞くのに忙しく(^^;、
「優秀」ということは分かっていても、
なかなかその全部を繰り返し聞く機会がなく、
その存在を忘れてしまいそうになったほどですが、
ごく最近、第4番の演奏録音を聞き、
再度、この全集を聞き直してみようという気持ちになりました。
第4番は1987年ケルンでの録音で、
第4楽章のソプラノはルチア・ポップです。
店長は現在、
QUADRAL AURUM SEDAN 9 というスピーカーの試聴記を担当するため、
そのスピーカーの試運転中ですが、
ベルティーニの第4番を聞き、
その録音の優秀さに驚きました。
スピーカーが優秀であるということもありますが、
録音された音が極めて自然で、
弦楽器の音が非常に美しく、
押しつけがましさは一切ないのに、
聞き手を確実にマーラーの聖と俗が共存する独特の世界に誘ってくれる、
そういう印象でした。
店長は軋轢型のテンシュテットのマーラーがことのほか好きなのですが、
テンシュテットの旧EMIの全集盤はその全てが万全な録音ではなく、
全集としてはベルティーの方が圧倒的に優れています。
ベルティーニはルーマニアの生まれですが、
ユダヤ人であったため早くからイスラエルに移住、
イスラエルの立国の切実さを考えると想像できますが、
非常な愛国者でした。
でも、日本の東京都交響楽団を含め、
ケルン放送交響楽団を筆頭にオーケストラビルダーとしても、
非常に高い手腕の持ち主でした。
亡くなると忘れられてしまう指揮者が多いですが、
ベルティーニはケルン放送交響楽団とのマーラー交響曲全集で、
今もなお不滅の輝きを放っています。
バーンスタインやアバドのような派手さはありませんので、
「そんなのあったっけ?」状態の人も多いと思いますが、
マーラー/交響曲全集としてはイチ押しです。