ベートーヴェン/交響曲第9番の話題が続きますが、
今回はオットー・クレンペラーの1957年ライヴ録音です。
この録音がリリースされた時には驚きました。
まさか、1957年のライヴ録音が、
ステレオで、
さらにこれほどのサウンドクオリティを確保しての
CD化が信じられなかったのです。
1957年11月15日、フィルハーモニア合唱団の
お披露目コンサートでのライヴ録音です。
このCDのリリースは、
店長みたいな人種にとって、
ハンス・クナッパーツブッシュによる、
1951年「神々の黄昏」バイロイトライヴのリリースにも匹敵する、
出来事だったのです。
特に、第9ですからね。
リリース当時、非常に気持ちが昂ったことを思い出します。
クレンペラーのベートーヴェンは非常に懐が深く、
EMIへのセッション録音では、
最初、何をやっているのか分からないものの、
他の指揮者のベートーヴェンを聞き、
もう一度クレンペラーの演奏録音を聞き直すと、
唖然とするほどクレンペラーの凄さに唸ったものです。
これほど冷静に(時には聴衆など意識せず冷たいほど)、
スコアの持つ意味を解きほぐしてゆく演奏録音は他にはありません。
クレンペラーはスコアに対する即物主義者という点では、
頭ひとつもふたつも抜きんでています。
それがつまらないという人もいますが、
そういう人でも、
ある時クレンペラー盤を聞き直して、
ズブズブとのめり込んでしまうということは大いにあり得ます。
実は、店長がそうでしたから(^^;。
クレンペラーの1957年ライヴ録音の第9は、
冷静沈着なはずのクレンペラーの音楽が、
巨大なスケールのまま、
熱をもって迫ってきます。
クレンペラーはセッション録音に比べて、
ライヴ録音では、
本当はロマンティストであることが分かる記録にぶつかることが多々あります。
この第9の演奏も巨大なスケール、厳しい演奏の中にも、
白熱する音楽を聞くことができます。
第9の一つの理想形といっても過言ではないほどです。
クレンペラーの第9は、1957年EMIへのセッション録音を除くと、
以下の録音が存在しています。
店長はそのほとんどを聞いています。
1956年5月17日、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
157年11月15日、当演奏録音
1958年1月6日、ケルン放送交響楽団
1960年6月7日、フィルハーモニア管弦楽団(ウィーン芸術週間)
1961年11月27日、フィルハーモニア管弦楽団
1964年10月27日、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1970年6月30日、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
そして、そのどれもがすごい演奏であることは驚異的です。
でも、これだけあると、
どれから聞いていいのか分からなくなりますね(^^)。
その中で、
1957年のライヴ録音はステレオで音も大変充実しているということから、
どなたにもお勧めできます。
ただ、演奏内容は厳しいですよ(^^)。