ブラームス/交響曲第一番をはじめて聞いたのは、
中学生の終わり頃だったでしょうか。
たしか、廉価盤で出ていた、
エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の録音だったと記憶しているのですが、
定かではありません。
その後、今まで数多くの同曲に接してきましたが、
もっともそれらしい演奏録音は、
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団のEMI盤だったでしょうか。
第1番は第1楽章冒頭の陰鬱なティンパニーの音で
そのイメージが決まってしまうようなところがありますが、
クレンペラー盤の重厚な陰鬱さは、
まさに楽曲のイメージ通りでした。
その後(だったか)
シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団の録音がEMIから出て、
巷の評判もいいことからLPで買い、CDでも買いで、
気に入っていました。
その他では、クルト・ザンデルリンクの
シュターツカペレ・ドレスデンとの全集盤や、
カラヤンの新旧全集盤が好きです。
それでも、
ブラームス/交響曲第1番というと
ミュンシュのEMI盤がすぐに頭に思い浮かぶほど店長にとって好きな録音でした。
ところが、
ミュンシュには、
さらに古いRCAに録音したボストン交響楽団との録音があり、
これはLPで聞いたことがなく、
初めて聞いたのはCDになってからです。
結果、パリ管弦楽団盤も素晴らしいけど、
ボストン交響楽団盤もひじょうによかった、ということでした。
なにより、オーケストラが素晴らしく、
ミュンシュの指揮も推進力に満ちたもので、
ミュンシュのブラ1は、
これが基本なのではないか?
という思いでした。
今では、ボストン交響楽団盤の方が愛聴盤になってしまっています。
ブラームスの交響曲第1番は難産でした。
ベートーヴェンの呪縛、とよく言われますが、
周囲の煽りに乗って、優れた作品を世に出さなければならないと、
試行錯誤の連続だったようです。
職業指揮者の草分け的存在であるハンス・フォン・ビューローに、
「これはベートーヴェン/交響曲第10番とも呼べる優れた作品だ」と評され、
ブラームスの交響曲作曲家としての地位は不動のものとなりました。
もっとも、ブラームスは交響曲を4曲しか完成しませんでしたが。
第1楽章の重厚な陰鬱さで始まり、
感動的で開放的な第4楽章まで、
「ブラームスの気負い」というひとも多くいますが、
聞いていて退屈するところのない、
素晴らしい交響曲のひとつだと思います。
店長は、最近では第2番や第3番を聞くことが多くなりましたが、
たまに第1番のディスクを引っ張り出して聞き始めると、
たちまち、ブラームス・ワールドの虜になってしまうのでした。