いよいよ夏の到来です。
マーラー/交響曲第3番の季節です。
暑いのは嫌ですけど、
夏の到来を告げる、
長いマーラー/交響曲第3番第1楽章で暑気払をしましょうか。
ガリ・ベルティーニは、
1988年、当時の音楽監督であったケルン放送交響楽団と来日、
マーラーでは第1番、第4番、第9番を各地で演奏しました。
大阪フェスティバルホールでもコンサートがあったのですが、
店長は所用で行けず、
非常に悔しい思いをしましたっけ。
実はその来日公演の前に、
ベルティーニ指揮シュトゥットガルト放送交響楽団の
マーラー/交響曲第9番がNHK-FMで放送されたことがあります。
その第4楽章が30分を超える演奏で(レヴァインのセッション録音よりもやや長い)、
そのことに驚いた店長は、
ベルティーニの名前を一気に刷り込まれたのでした。
ベルティーニのマーラーは、
ケルン放送交響楽団との演奏録音が、
第3番、第6番とドイツ・ハルモニア・ムンディから(後にEMI)、
LPでリリースされました。
CDが一般化する前で、
店長は両方ともLPを購入、結構気に入って聞いていました。
ベルティーニのマーラーは、
当時、まだ交響曲全集に発展する予定はありませんでした。
ベルティーニのマーラーは、
例えばテンシュテットの軋轢型演奏とはかなり異なり、
柔らかさと平穏さが特徴です。
しかもスケールが大きくロマンティックで、
マーラーの解釈としては誰をも納得させる力を持っています。
特に第3番では長大な第6楽章も聞きもので、
あちこち地獄に叩き落されそうになるテンシュテットの演奏録音とは異なり、
壮大な中にも、
マーラーの描いた天上世界に素直に昇ってゆくような平穏さがあります。
マーラーの演奏録音としては録音は少し古くなりましたが、
未だに色あせない出色の演奏録音であるといえます。
ベルティーニは後年、東京都交響楽団の音楽監督に就任、
日本でも多くのファンを獲得しましたが、
2005年に惜しくも亡くなりました。
旧ソ連生まれでイスラエルに移住、
当時のイスラエルの成立事情を考えると当然のことながら、
かなりの愛国主義者であったそうです。
また、同じユダヤ人であったマーラーには相当な共感を示していたようで、
ドイツ・ハルモニア・ムンディの第3番、第6番以外にも、
数々の名演を残しました。
ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団のマーラー/交響曲全集は、
日本でのライヴ録音を含め、
現在でも入手可能のようです。
質の高い録音が多いですので、
第3番単体としても全集としても、
第一に指を折るべき演奏録音だと思います。