ラファエル・クーべリックって面白い指揮者ですね。
これほど、
セッション録音とライヴ録音の差が激しい指揮者も珍しいです。
セッション録音では比較的落ち着いた録音が多いのに、
ライヴ録音では爆演を繰り広げていることも少なくありません。
1965年4月24日、東京文化会館での、
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」のテンポの速さと爆演ぶりには、
随分と驚かされました。
クーべリックはチェコ出身の指揮者ですので、
スメタナやドヴォルザークなどのお国ものはむろん得意で、
チェコ出身のマーラーも大変得意にしていました。
店長は一時期クーべリックが大好きで、
あれこれ漁盤した懐かしい思い出があります。
ただ、クーべリックにも不得意...というより、
あまり楽曲に入れ込んでいない例もあり、
クーべリックにはワーグナーのオペラ全曲もいくつかありますが、
あまり感心できなかった録音もあります。
実は、店長がクーべリックから離れてしまったのは、
そのワーグナーのオペラがきっかけでした。
でも、クーべリックにはいまだに好きな録音が数多くあります。
モーツァルトの協奏交響曲のライヴ録音など(海賊盤ですが)、
音楽がまるで生きているようで、
今もってクーべリック盤を凌駕する演奏録音には出会えていません。
いろいろなクーべリックの音盤の中で、
今でも好きでよく聞くのが、
ブルックナー/交響曲第3番です。
クーべリックの使用している版は第2稿を元にしたエーザー版で、
一般的なノヴァク版とは少し異なります。
店長は、第3番ではとっても長い第1稿が一番好きなのですが、
初版、エーザー版、ノヴァク版、いずれもそれぞれ魅力に富んでいます。
クーべリックの第3番はあちこち爆発はありますが、
結構落ち着いた進行、
抒情をしっかりと感じさせてくれる演奏録音で、
しかも、メロディをしっかりと歌わせており、
最後まで弛緩することなく聞くことができます。
ブルックナーでは異色の演奏かもしれません。
クーべリックのブルックナー録音は少なく、
セッション録音はCBS/SONYの第3番と第4番だけです。
ライヴ録音では第6番と第8番(2種類聞きました)、第9番が残されていて、
ライヴ録音の第6番はクーべリックの体質と合っていたのか、
とっても面白くて血沸き肉躍る演奏録音が聞けます。
第3番は楽曲の性格もあり、
血沸き肉躍る演奏ではありませんが、
ライヴ録音よりも丁寧にブルックナーの情感をすくい出しており、
ブルックナーの書いた、
いじらしいほどの愛らしいメロディが生きています。
店長がブルックナーを聞き始めたころに比べて、
さまざまな演奏録音が生まれてきました。
その中で、
クーべリックの第3番は独特の印象で、
店長の中に残っています。