このところ、LPの復活が凄まじいですね。
オーディオ・アクセサリー誌やステレオ・サウンド誌の最新号を見ていると、
SACDやハイレゾではなく、
通常CDとLPに多くのページが割かれていたり、
広告が増えているような気がします。
店長が音楽を聞き始めたころは、
もちろんCDなどはなく(カセットテープもまだでした)、
レコードが中心でした。
お小遣いやお年玉を貯めて買いますから、
当然、45回転EPや17cm33回転LPが中心です。
でも、やっぱり30cm33回転のLPはとてつもなく魅力的で、
そのうち、30cm33回転LPしか買わなくなりました。
お小遣いを握りしめて、
レコードは1枚しか買えませんから、
レコード屋さんで「さて何を買うか?」、
あれこれ迷ったことが、
懐かしい思い出です。
そして、買ったLPを大事に何回も何回も聞いたことも。
高校生時代の最後の方で出会ったLP、
ジョン・バルビローリ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の、
マーラー/交響曲第5番が一番思い出深いLPでしょうか。
実は、大阪のレコード屋さんで、
同じバルビローリによるマーラー/交響曲第6番をすでに入手しており、
第5番はその後に買ったのでした。
このLPには散々てこずりました。
わが貧弱なレコード・プレーヤーでは、
強奏で針が飛びまくり、
なかなかまともには聞けませんでした。
針圧を通常よりも重くして、
何とか数回のみ再生できました。
でも、他のレコードが傷むのが嫌で、
このレコードは知人に譲り、
今考えると非常にもったいないことをしました。
バルビローリのマーラー/交響曲第5番の録音は独特で、
おそらく当時、最も「正確な音」ではなかったかと思います。
実は、今でもそう思っています。
弦楽合奏の音に非常なリアリティがあり、
まるでコンサート会場で聞いているように最初は頼りなく聞こえ、
金管楽器もまるでその輝きが見える音がしたものです。
バルビローリ晩年のマーラーは、独特のテンポの遅さ、
今にも崩れ落ちそうなオーケストラに、
当時の評論家の方が、
「夕陽の中にたたずむ、ヨーロッパの古城の雰囲気」と、
その演奏の雰囲気を、
ぴたりと言い当てられていたことを思い出します。
CDになって再聴し、、
LP時代に受けたショックは和らいでしましましたが、
今でもたまに引っ張り出して聞きます。
LP時代はいろいろと楽しい思い出と、
悔しい思い出がいっぱいです。
LPの盤質の問題(輸入盤によって盤質が悪いものがあった)、
カッティングレベルの問題、
新品を買ったのにノイズだらけ、
お酒を飲んでLPを扱ったら傷をつけてしまった、
というマイナス面も多々ありましたが、
ジャケットが大きく見栄えがする、
カートリッジで音がコロリと変わる面白さなど、
今でも、LPではいろいろとやっています。
ただ、CDに比べて扱いにくいことは確かですので、
その扱いにくさを含めて趣味の世界としては、
LPはとってもいいですね。