ハインツ・ボンガルツ、
という指揮者を知っている人は、
さて、どれくらいおられるでしょう?
ドイツ統合前の東ドイツの指揮者で、
レコードへの録音も極めて少なく、
数えるほどしかありません。
ところが、
中古ショップでたまたま手にしたCDがあまりに素晴らしく、
店長はあちこちボンガルツの中古CDを探しては入手しています。
日本では、
恐らくブルックナー/交響曲第6番や、
ベートーヴェン/「エグモント」劇付随音楽で、
ボンガルツの名前は、
一部の音楽マニアに知られていただけかもしれません。
店長も、ブルックナー/交響曲第6番や、
ベートーヴェン/「エグモント」劇付随音楽は持っていましたが、
「へ~!」と驚いたのは、
ボンガルツがドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した、
R.シュトラウス「ドン・ファン」1977年のライヴ録音でした。
ゆったりとしたテンポで、
あまり派手な音響効果は狙っていないのに、
細部まで行き届いた非常に優れた音楽になっています。
非常に渋い演奏録音です。
演奏も優れていて、
最後の拍手を聞くまで、
ライヴ録音であることに気がつかないほどでした。
よく、
共産主義各国が軒並み民主化する前の東ヨーロッパのオーケストラの音を、
「いぶし銀」と表現する言葉がありましたが、
例えば、オーケストラのヴァイオリンのクオリティがバラバラで、
音色が揃っていない、ということを「いぶし銀の音色」という人もいて、
必ずしもほめ言葉ではありませんでした。
でも、ボンガルツの渋い「ドン・ファン」は、
正に「いぶし銀」という言葉がぴったりの、
大人の音がするのです。
フィルアップされている、というかそちらがメインの、
ベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」も大変優れた演奏です。
ボンガルツのCDをあれこれ漁っていて、
マックス・レーガーの管弦楽曲をいくつか録音していることが分かりました。
さっそく、ネットの中古ショップでボンガルツの指揮する
レーガーの楽曲を検索、あれこれ注文してしまいました。
ところが、家のCD棚にBerlin Classicsというレーベルの、
「マックス・レーガー管弦楽曲集」というボックスがあるではありませんか!
そして、その中にボンガルツのレーガーが...全部...。
まあ、地味な指揮者ですから、
そういうこともあります...と悔し紛れに。