お盆から更新が滞ってしまいました。
忙しかったせいもありますが、
やはり暑さに少し負けてしまっていたようです。
9月に入り、雨模様の日が続いていますので、
少し涼しくなって助かっています。
ただ、ジメジメはイヤですけどね。
今年に入って、
今ままであまり熱心な聞き手ではなかった
リストのピアノ曲をよく聞くようになりました。
その中で、最近の録音で感心したのが、
反田恭平のデビューアルバムでした。
最初は買う気のないまま、
某CDショップの試聴記に入っていたため試聴、
最初の「ラ・カンパネラ」から、
独特のアゴーギグ、フレージングに驚いてしまい、
そのはみ出し具合が気に入って買ってしまいました。
以来、最近のお気に入り盤で、折につけ聞いています。
反田恭平はまだ若いため、
これから、どのように変化してゆくのか分かりません。
もしかすると、このリストのアルバムだけ特殊で、
この後、優等生的な普通のピアニストになるのかもしれません。
このリストのアルバムで聞ける尋常ではないはみ出し具合は、
若いときだけに可能な演奏であるのかもしれません。
指揮者や演奏家は、
どうしても年齢が重なって、
円熟した頃から好んで聞かれる傾向がありますが、
ピアニストやヴァイオリニストは、
若い頃の演奏録音がキラキラと輝くようだった、
ということも少なくありません。
若いときの録音だけ素晴らしく、
後は平々凡々と言う例も数多くあるだけに、
なかなか未来を予測するのは難しいです。
反田恭平のリストのアルバムは録音された音も非常に優秀です。
ホロヴィッツの弾いていた、
ニューヨークスタンウェイのCD75を弾いていますので、
独特の響きがします。
その独特の響きは多くのピアニストを魅了し、
数多くのピアニストがニューヨークスタンウェイに挑戦していますが、
必ずしも成功ばかり、というわけではないようです。
ヴラディーミル・ホロヴィッツくらいしか、
納得して聞けた音はなかったような...。
反田恭平が同じピアノを弾き続けるのなら、
今後変わってゆく可能性があります。
ただ、このアルバムでは若い頃に出会ったピアノの響きを、
戸惑いながらも楽しみ、
自分のものにしようとしている姿が垣間見えるようで、
非常な聞きものになっています。
このアルバム、非常に面白いし、なかなか良かったです。