一度、オルガンによる
バッハ/「オルガン小曲集(オルゲルビュヒライン)」を
取り上げたことがありますが、
今回はオルガンのためのトリオソナタ集です。
第1番から第6番まであります(BWV525-530)。
トリオソナタというと、
表題がないため、なんだか堅苦しい音楽の印象があるかもしれませんが、
6曲あるトリオソナタどれをとっても、
まったく重苦しくなく、
オルガン特有の「ビャー!」とか「ブァー!」というオルガントーンもなく、
ひじょうに軽やかでメロディアスな楽曲が並んでいます。
トリオソナタ自体、
オルガンのために作曲されていますが、
2つの独奏楽器、ひとつの通奏低音で演奏されることも多く、
さまざまな演奏録音を聞くことができます。
でも、まずオルガンで演奏されたものを聞くべきでしょうね。
試しに、トリオソナタ第1番第2楽章を聞いてみてください。
え?っと驚くほど愛らしく、
また素敵なメロディにあふれた楽曲です。
さらに、第2番第1楽章など、第1番第3楽章の続きで聞くと、
その物悲しげな出だしは、ゾクゾクするほどの素晴らしさです。
トリオソナタは演奏者には難しい楽曲だからか
(本来、息子の練習用に作曲されました)、
それほど多くの演奏録音に接してきた記憶がありません。
古くはヘルムート・ヴァルヒャの全曲録音、
カール・リヒターにもいくつかトリオソナタの録音がありますが、
トリオソナタ全集という形ではリリースされたことがなく、
また、全曲があるのかどうか分かりません。
たしか、どれか抜けているはずです。
その他、マイナーレーベルから全集がいくつか出ています。
といっても、CD2枚に全曲が収まりますが。
店長がレコードで初めて聞いた演奏録音は、
フランスのマリー=クレール・アランの演奏録音でした。
アランによるトリオソナタもなかなか素晴らしい演奏録音で、
「ドイツのオルガン奏法と違う」という意見もあるようですが、
フランスはオルガン大国でもあり、
独自の奏法が発展したのかもしれません。
なにはともあれ、
アランのトリオソナタ全集で、
充分、トリオソナタの美しさ、楽しさが伝わります。
オルガン曲はバッハの「トッカータとフーガ ニ短調」の
「チャラリー!」しか知らない方は、
ぜひ、トリオソナタをご一聴されることをお薦めします。
オルガン音楽の奥深さ、可能性、
そして美しさと楽しさ、そして軽やかさを感じ取れると思います。