昨年は夏からいきなり冬、という感じでしたが、
今年はまだ秋が感じられそうです。
ただ、日本は温帯から亜熱帯の気候に近づいているそうですので、
今までのような季節感は多少薄れてしまうのかもしれません。
秋は食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋など、
いろいろな楽しみ方がありますが、
音楽も夏とは違う音楽が聞きたくなりますね。
その筆頭がブラームスの室内楽曲です。
特に、クラリネット五重奏曲は憂いに充ちた楽曲で、
秋のもの思いにぴったりかもしれません。
CDの初期時代、
ブラームスの室内楽はあまりリリースされていず、
チェコのスプラフォンレーベルの復刻版などで渇きを癒していましたが、
1990年頃、ミシェル・ポルタルのクラリネット、
メロス弦楽四重奏団の録音した
アルモニア・ムンディ・フランスのCDがリリースされました。
これには飛びついて購入しました。
その後、ウラッハのWestminster盤や、
プリンツやライスターの数種の録音ががいろいろと復活されたり、
リリースされたりで、
さまざまなクラリネット奏者のCDを聞けるようになりましたが、
店長はリリースされて四半世紀になる
ポルタル&メロスの録音が今でも大好きです。
ブラームスのクラリネット五重奏曲は、
全楽章ピアニシモで尾を引くように終わって行きます。
諦観と憂いと哀しみに充ちた楽曲で、
なんだか、
孤独の中にズブズブと沈み込んでしまいそうな危険も感じます。
ただ、確かに聞いている間は、
ブラームスの憂愁に巻き込まれて聞いているような趣ですが、
聞き終わった後は、
しみじみとしたカタルシスが得られます。
これから秋の夜長、
ブラームスの室内楽がぴったりの季節です。