店長がまだ若いとき、
バッハのクラヴィア曲といえば、
グレン・グールドでした。
他にもいろいろと出てはいたのですが、
「バッハといえばグレン・グールド」が標語のようになってしまい、
どの音楽評論を読んでも、
まず、バッハはグールドの録音が出てきました。
店長も、
グレン・グールドのバッハは、
バラでレコードを全部そろえた記憶がありますから、
かなり大きな影響下にあったと思います。
パルティータなど、
グレン・グールドの演奏録音が最も好きだったりします。
今でも、グールドのバッハは凄い…
と思いつつも、
「ひとつの楽曲にはひとつの演奏録音でいい」
名盤主義者ではありませんので、
いろいろと聞いて楽しんでいます。
若い頃は経済力不足、
経験不足で名盤主義者に走ってしまいがちですが、
年齢を重ねると、
やはり、
いろいろと聞いて楽しんだほうが得、
と思っています。
コンサートゴーアーでしたら、
ひとつのコンサートで充分、というわけには行きませんしね。
バッハのクラヴィア曲というと、
平均律、ゴルトベルク変奏曲、パルティータ、
イギリス組曲、フランス組曲、イタリア組曲、
インヴェンションとシンフォニアなど、
いろいろとありますが、
今回紹介するアンジェラ・ヒューイットのピアノで、
もっとも共感した演奏録音がイギリス組曲でした。
ヒューイットのイギリス組曲は、
それまで聞いてきていた演奏録音よりも、
そのピアノの音色の明るさ、
迷いがないというか、
あっけらかんとしたピアニズムが魅力です。
ここでは、
バッハのもたらした影の部分にまで光が当っているように響きます。
何でもいいからバリバリ弾きました…という演奏では無論ないのですが、
全体に明るい光の中でのバッハの演奏録音です。
楽曲によっては、
ヒューイットのピアノはいまいちのめり込めない部分もありますが、
こと、イギリス組曲に関しては、
ヒューイットのピアノに非常に満足しています。